2023年の振り返り、2024年に向けた話

もう年の瀬ですね。信じられない速さで時間が過ぎていって、本当に奇妙な気分だ。

2023という年を、うまく総括できる感じがしない。破門、就職、転職、引っ越しと、あまりに巨大なイベントが続いて、本当に記録も記憶もほとんど残っていないからだ。プライベート用の日記は4000字で止まっていた。時間は溶けるように消えた。

ただ一つ、確実に言えるのは、2023年の私を救ってくれたのが友人たちだということだ。

遊びに誘ってくれる人。しょっちゅううちに泊まりに来てくれる人。つらい夜に電話をかけてくれる人。服やメイクを褒めてくれる人。家事を手伝ってくれる人。ダルい通話に付き合ってくれる人。運動や議論や情報交換をしてくれる人。私がパニックを起こしているときに、休んでいいよと言ってくれる人。引っ越しのときにギフトをくれた人。犬や猫の写真を送ってくれる人。私の仕事に興味を持ってくれる人。我が家に長逗留して家を賑やかしてくれた人。深夜の川べりを笑いながら歩いてくれた人。突然居酒屋に行きたいと言ったら着いてきてくれた人。しょうもないギャグをたくさん語ってくれた人。夜の新宿を何時間も一緒に放浪してくれた人。死なないでってメッセージをくれた人。カラオケでクィアな曲をデュエットしてくれた人。苦しいときに何も聞かないで、ただ一緒にスプラトゥーンをしてくれた人。

いろんな人が私を助けてくれた。本当に、感謝してもしきれない。そういう思い出はたくさんあるのだ。そのひとつひとつが、永遠ではない。本当はもちろん毎日死ぬまでこうやって遊んで暮らしたいけど、それが無理だって身に沁みてわかってきたから、「今」を大事にしようと思うようになった。今目の前に相手がいるから、それを一生懸命尊重する。そういうことをしたい。お互い傷つけられながら一緒にいるのが「本当」の人間関係なんだって、長いこと思い込んできたけれど、そうじゃないんだとちょっとずつ理解できてきた。人間関係に本当も嘘もない。ただ尊ぶべき他者がいるだけで。

ただまあ、一方では友人に支えてもらわずには立っていられないような怒涛の1年だった、ということでもある。まず無職から就職し、会社員になった。それから会社都合の解雇があり、転職することになった。また、引っ越しもした。その間にも学会やイベントやさまざまな書き仕事があって、首は全く回っていなかった。

特に辛かったのはやはり転職で、最終的に私はかなり希望ぴったりの職場に入り込むことができたのだけど、その過程で何度も惨めな思いをした。泣きながら親に「実家に帰りたい」とLINEしたり、Discordで通話しながら急に泣き出したりする日もあった。書き仕事はかなりの数を断らざるを得なくて、それも悔しかった。

今は週5労働になかなか慣れなくて、難しいなと感じている。したっぱもしたっぱなので、定時に上がりますと言って定時に上がっているのだが、それでも週40時間が仕事になると、余暇の時間はどうしてもぼーっとするか寝るかになってしまって、映画やアニメに触れたり本を読んだりということが全然できない。これも慣れればどうにか変われるのかもしれないけど、今のところは到底無理だ。インプットを増やさなければいいアウトプットもできないのは当然で、やっぱりインプットをする時間が欲しいと心底思っている。

ただ、仕事自体は楽しい。やりたかった(というか自分に相当適性がある)仕事だし、これまで同じようなことをしてきたノウハウもある程度は自分の中にあるから、それを一生懸命今の職場用にチューニングしている最中、という感じだ。やっぱり似たような仕事内容でも職場によって(当たり前だけど)ルールが違っていて、それは同じ言語から枝分かれした別の言語が違う文法を持っているのに似ている。

まだ私は見習いだが、これから部署移動なども踏んで、もう少し自由に仕事ができるようになると思う。それに強く期待している。

社会的状況としては、あまりにしんどいことが多かった。ガザの空爆は今も続いているし、ウクライナもいまだ戦禍の中、トランス差別の嵐は止まず、入管法改悪案は通ってしまって、増税、軍拡、教育現場の破壊と、本当にひどいことばかりで頭が追いつかない。「忙し過ぎてインプットができない」という自分個人の状況が重なって、本当にずっと苦しかった。デモにもあちこち足を運んだ。それでもまだ人があちこちで不条理に死を迎えている。それがあまりにもつらい。もっと今の状況を変えるための文章を書かなくては、と、強く思う。

今年印象に残っている仕事をいくつか貼っておく。

朝日新聞2023/4/12夕刊「にじいろの議」

新聞にインタビューではなく寄稿という形で載ったのは初めて(新聞自体は3回目)。今起き上がれない人へ、というメッセージだったので、本人に対してはもちろん、不登校の子の保護者とか、いろんな起き上がれない人のそばにいる人が読むことまで考えて書いた。結果わりと評判がよかったのと、新聞を読んで本にたどり着いてくれた方がいたので、うれしかった。

②me&you「金子由里奈✕高島鈴 「わたしたちは全然大丈夫じゃない」、それでも生きていく」

meandyou.net

金子由里奈との対談。今年はインタビューされる機会もありがたいことに多かったのだけど、この対談はことさらに楽しかった! 金子と一緒に写真を撮ってもらえたのもとてもいい思い出だ。お前もアナキストにならないか?という誘いをかけている内容です。

③レビュー「Cosmic Wheel:Sisterhood」

www.4gamer.net

めちゃくちゃネタバレのゲームレビュー。タロット(に似たカード)で運命を決定する、魔女の政治活動を描いたゲームだ。めちゃくちゃ面白く遊んだ作品だったので、4Gamerで拾ってもらえて本当にありがたかった。ほぼ編集なしで通ったのもなんだか嬉しかったです。

来年やりたいことがいくつか決まっている。

①タトゥーを入れる

年末に友人と通話していて、「自分の核は祈り、約束、追悼だと思っていて」と話したとき、あ、これタトゥーにしよう、と思い立った。英語で入れるのはしゃくだから、エスペラントで入れる。それを片手に入れるなら、もう一方は「歴史、応答、責任」にしたい、と思った。これら6つは私を生に繋留するエッセンスだ。それを見える場所に残しておきたいと思った。文字のデザインは親友に頼んだ。一生体に残るものだから、フォントの歴史までちゃんと調べよう、と言ってくれて、それが無性に頼もしかった。夏までには入れておきたい。

②イベントをやる

今年は「左翼が友達を作るイベント」として「バー高島」を開催したのだが、1回目が終わったあとに場所が使えなくなってしまい、2回目を開催できなかった。そのため、今後継続してバー高島を開催できる場所を探している。どこかやらせてくれるところがあったら教えてください。(自宅でもいいっちゃいいんだけど、さすがに初対面で自宅は、よほどのことがないと無理なので……)

③書き仕事をもっとやる

さすがに2冊目の準備をしなければならない。もっと今年は余裕を持って文章を書いていきたい。そのためにはやはり読書とフィールドワークが必要だから、まずは仕事にもっと慣れなくてはいけなくて……と思うと先が長くて気が遠くなりそうだ。でも書きたいこと自体はたくさんあるから、それを少しずつ形にしたい。人が孤独に苦しんでいるとき、同じ砂漠に違う旅人がいると示すための記事を作りたい。

そのためにも、webで無料で読める記事に注力したいのは来年のポイントかも。紙媒体も大好きだし、質感のあるものに自分の文章が刷られて広まるのは楽しく、また紙媒体でなければ出会えない相手もたくさんいるからありがたいのだけど、一方でお金がなくても読める記事を増やすのは社会的に大きな意味のあることだとも思う。自分がWeb出身のライターだから、という理由もあるのだけど、webへのこだわりはやはり強い。

今決まっているもの以外でなんとなくやってみたいことがいくつかある。話を聞いてくれる編集さんがいたら、ぜひ打ち合わせしてください。

④人間関係の構築

先に書いた通り、人間関係に本当に恵まれた1年だったのだけど、2024は(星占い的にも)「居場所を作る」ような人間関係を作りたいと思っている。もっと気兼ねなく、喜びを伝えあったり、褒め合ったり、はしゃいだり、落ち込む夜を共有したり、というのができる相手が欲しい。それは今いる友人ともっともっと仲良くなることも含まれるし、パートナーシップの問題をどうにかしたいという意味でもある。引き続き、みなさん遊びやデートに誘ってください。

来年はもっと生活も仕事も安定させて、読書や余暇を充実させたい。

というわけで、2024年もよろしくお願いします! 生存は抵抗!