2/3〜2/4のこと/荒井勝喜秘書官の差別発言について

mainichi.jp

>LGBTQなど性的少数者同性婚のあり方を巡り、経済産業省出身の荒井勝喜首相秘書官が3日夜、記者団の取材に「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」などと差別的な発言をした。

>荒井氏は「社会に与える影響が大きい。マイナスだ。秘書官室もみんな反対する」などと発言したほか、「人権や価値観は尊重するが、同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」との趣旨の言及もあった。

 

今私はこの文章を反射神経で書いている。怒りの反射神経である。そして同時に、今起こっていること/怒っていることを記録する必要があると思った。そしてこれが私という一人の「当事者」――あえてこのように言う――の日常の中に発生した事件であることを書き残すべきだと思った。だから今日何があったかを、地続きに書く。

***

今私の家には原稿に煮詰まった友人Yが滞在している。もちろん目的は仕事だから、あまり邪魔してはいけないのだけど、家に人がいるのはとてもうれしい。Yは昨夜からずっと夜通し起きて原稿をして、それから昼に少し寝て、夕方にまた起きてきた。二人で夕方にひよこ豆のカレーで腹ごしらえをして、それからお互い作業をしていた。久しぶりに少しきちんとした読書ができた。人の気配があるのはとてもありがたいことだ。

Yは夜にさしかかる頃に脱稿し、喜びを訴え、それから「今日は料理できる気分だから鍋をしよう」と言ってくれた。私とYは二人でスーパーへ行き、鍋の準備をし、脱稿祝いとして安くなっていたハーゲンダッツも購入して、家に戻ってきた。これで鍋の準備は万端、と思いきや、冷凍用のネギを切っている最中にジップロックがなかったことに気づき、私は急いでドラッグストアまで買い物に行った。戻ってきてからわれわれはごま豆乳鍋を完成させ、ラー油をかけて食べた。非常においしかった。私は鍋だけで満腹になったが、Yは締めにうどんを入れて食べていた。Yはゆっくりと食事を取るが、同時に健啖家であり、よい食べっぷりをする。それからそれぞれにアイスを食し、改めて脱稿を祝福していた。

ニュースが目に入ってきたのはそのおりである。最初、何を書いてあるのか全くわからなかった。次に静かに怒りがやってきた。とにかくこれは広く伝えねばならないことだと思い、即座にツイートをした。ツイートで発言をコピペしている間、ふつふつと激しい怒りが湧き上がってきた。隣に住んでいるのも嫌だ? お前の家の隣に住んでやろうか、と思ったが、政府中枢の人間が住む家の隣など自分の稼ぎではとてもではないが住めない、という現実的なことが頭をよぎり、また腹が立った。この人物の家の隣に大きなアパートを立ててクィアを集めて住みたいと思ったが、そんな明るい想像をこの卑劣な発言にぶつけたくないと思い、また腹が立った。本当にしょうもない発言だと思った。だが近頃特に思う、しょうもない発言に傷つくとき、それはその発言の内容自体にも傷ついているが、その発言のしょうもなさにも深く傷つけられているのだ。この荒井勝喜という人間は、本当に本当にしょうもない、だからこそ間違いなく最低最悪の発言をした。そういうやつが政治の実権を握っている。その現実が何よりもきつかった。

同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる、は二重三重に意味がわからない。むしろ同性婚を求めて「国を捨てる」人のほうが無数にいるだろうに。そして何より、荒井のような人間が容易にたくさんの人びとの命を左右するような立場に就ける仕組みを備えたこの「日本」という「国」を、私は何より捨てたいとこれまでずっと願ってきた。いいよ、捨ててやるよ、マジでお前ごと捨ててやる。お前たち自民党とその取り巻きがいなくなって国を捨てたこの細長い島で、俺はのびのびと生きていきたい。本当にそう思う。

私は感情的な人間だと自負している。今とても苛立っている。

 

改めて、自民党のような政党が与党の座に就き、民主主義のふりをした多数決=マジョリティ政治がその実質的一党独裁を支持していくシステムを、とにもかくにも否定し続けなければならない。この島の政治は仕組みがおかしい。何もかもおかしい。

これを書いている間にYが風呂から上がってきた。YにYのことをブログに書いてもいいかと聞いたらいいよと言われたのでこの文章はこのまま公開される。